スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

ひきこもりのススメ

『増注聯珠詩格』注釈 巻之七
  [用待得字格]   待得字を用ふるの格

                             いえ   きょ
  居家              家に居す
                                            か おうりゅう
       何應龍                 何應龍

 ○ ○ ● ●  ● ○ ◎        いえ    ゐ        たうてい  くゎん  ゐ     まさ
居家到底勝居官    家に居るは 到底 官に居るに勝れり

 ○ ● ○ ○ ● ● ◎        ていていせいちゅう ひる くゎん  おほ
啼鳥聲中晝掩關    啼鳥聲中 晝 關を掩ふ

 ● ● ● ○ ○ ● ◎        せうえん  はな   お   つく     ま    え
待得小園花落盡    小園の花 落ち盡るを待ち得て

 ● ○ ● ● ● ○ ◎        さら すべから さけ  うつ      しゅんざん たい
更須移酒對春山   更に須く酒を移して 春山に對すべし

                                              (上平聲十四寒・十五刪韻)

 【通釋】
  家にいるのは、官僚世界に身を置くよりもよいものだ
  鳥の鳴き声の聞こえる中、昼間に(家の)門をとじて
  庭に咲く花々が散り落ちる様子を待ち
  その上で、酒を(庭に持ち)移して、春の山にむかうべきだろう

 【注】
  有志於山林者(山林に志有る者なり)。
   山林にありて、隠逸の志を持つ者のことである。

  有餘不盡之意悠長(有餘不盡の意悠長なり)
   余韻尽きることのない、ゆったりとした詩である。

 【作者】
  南宋の何應龍。 字は子翔。 號は橘潭。 事蹟及び生卒年は未詳。
  錢塘(今の浙江省、杭州市)の人。 その著作は已に佚し、僅かに『南宋六十家小集』中に
  『橘潭詩稿』一巻を存するのみである。

↓原文なり。
聯珠詩格-居家

○→平声
●→仄声
◎→押韻

ところでこの詩の作者はこの時、詩に詠じたとおりに「隠者暮らし」をしていたのだろうか?
それとも官僚世界に身を置きつつ、隠者暮らしへのあこがれを詩に詠んだのだろうか?
何應龍の事跡が不明なため、今ひとつよくわからないのだが如何なものだろうか?


---補足---
聯珠詩格(れんじゅしかく)とは、元の于濟、蔡正孫補に係る漢詩のアンソロジー本で、室町時代に日本にもたらされ、『唐詩選(とうしせん)』『三体詩(さんていし)』とともに江戸時代に大いに流行した作詞指南書である。江戸の著名漢詩人をはじめ、松尾芭蕉や与謝蕪村らの愛読書でもあった。
しかし明治以降になると人気は衰え、現在では、江戸時代後期の漢詩人・柏木如亭(かしわぎじょてい)の記した『訳注聯珠詩格』が岩波文庫で入手できるのみである。
スポンサーサイト
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。