竹愛でる人

少しばかり前の話になるが、驚かされた本がある。
それがこちらの本である。

此君   

  書  名: 此君 日原傳句集
  シリーズ :ふらんす堂精鋭俳句叢書. Serie de la lune
  版  次: 2008.09.27第1刷
  著  者: 日原 傳
  出版者: ふらんす堂
  出版地: 東京都
  出版年: 2008.09.27
  形  態: 171p,19cm
  I S B N: 978-4-7814-0078-5
  価  格: ¥2400+税


  t1.シクン t2.ヒハラ ツタエ クシュウ
  a1.ヒハラ ツタエ s1.俳句 分類番号911.368




~目次~








あとがき


日原傳氏といえば、「ひとりで静かに日本酒を嗜み、侘び・さびの世界を漢詩でもって表現する人」といったイメージが強かったのだが、今回この本を読んでその観察眼の鋭さに驚かされた。試みに「自選十五句」を挙げて見ようか。


まんさくは頬刺す風の中の花

てのひらの集まつてくる踊かな

鹿散つて僧の行列見てをりぬ

外套は神話の如く吊られけり

葉桜のころの奉納相撲かな

難しく幹にとまりて囀れり

長城の切れ端を目に秋耕す

蟋蟀の跳べば親しき黄河かな

空飛んで来たる顔せず浮寝鳥

いきほひの出て真直ぐに蛇泳ぐ

出入口なき虫籠を編む男

ある人は膝を抱へて涼みけり

伝言を巫女は菊師にささやきぬ

青柿のほとりの水の迅さかな

朧夜の冬虫夏草沈む酒



俳句のことはトンとわからぬ門外漢でもこれは断言できる。
これはすごい、と。
短歌や俳句は母国語である日本語で作れるが故に、どうしても「俗」に陥りやすいのであるが、この句集にはそういった句は見あたらず、また、題材も日本の風景のみならず、日々の我が子とのふれあいや、イスラム世界や中国の風景などの多岐にわたり、飽きることがない。

今回の句集は「重華」「江湖」につづいて3冊目になるらしい。以前刊行された2冊は読めずじまいであるが、第32回俳人協会新人賞を受賞されたというこの「此君」を読めたことは幸いである。

なお、「此君」とは竹をこよなく愛する王徽之(おうきし・書聖王羲之の子)が竹を指さして「何ぞ一日も此の君無かるべけんや」と言ったという故事による。興味のある方は六朝貴族の小話を集めた『世説新語』の任誕篇をご一読あれ♪
2012-04-18 20:43 : 本のこと : コメント : 0 : トラックバック : 0 : : このエントリーをはてなブックマークに追加 はてなブックマーク - 竹愛でる人
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