スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

現代人にも、漢詩は作れる?

Amazonで売り切れの入荷未定状態が続いているが、漢詩部門でベストセラー1位が続いているという、ちょいとばかり興味深い漢詩本が出版されたので、書き連ねてみよう。

石川忠久_漢詩の稽古

  書  名: 石川忠久 漢詩の稽古
  著  者: 石川忠久
  版  次: 初版第1刷
  出版者: 大修館書店
  出版地: 東京都
  出版年: 2015.07.10
  形  態: xii,242p,19cm
  I S B N: 978-4-469-23276-9
  価  格: ¥1800+税

  t1.イシカワタダヒサ カンシノケイコ
  a1.イシカワタダヒサ s1.漢詩 分類番号919.07







        ~目 次~

はじめに

七言絶句
  1 和語を用いない   [夏・海/尤韻]
  2 和習の表現に気をつける   [夏・蝉/元韻]
  3 場面に合った描写をする   [夏・山行/冬韻]
  4 生かし切れない趣向はあきらめる   [秋・箱根/尤韻]
  5 起句と結句を呼応させる   [紅葉/東韻]

  6 前半で舞台を整え、後半の情を引き出す   [冬・酒/陽韻]
  7 作中人物に不自然な行動をさせない   [初冬/冬韻]
  8 理屈に合わない発想は慎む   [残雪/東韻]

五言絶句
  9 起句・承句の流れを練る   [感傷・酒/真韻]

七言絶句
 10 適切な語に改め韻を換える   [刀/陽→蒸韻]
 11 内容に合わせて題を変える   [梅雨/麻韻]
 12 盛りだくさんの着想の詩を二首に作り直す   [初夏・雨/微韻]
 13 盛りだくさんの着想の詩を二首に作り直す   [初夏・雨/陽韻]
 14 主題に適した詩語を配する   [寺・坐像/真韻]

 15 情景を単純化し、心情を印象的に訴える   [雉/庚韻]
 16 有名な詩の言葉を用いてその趣を取り込む   [桃・鶯/陽韻]
 17 場面を整えた上で新発想を際立たせる   [七夕/尤韻]
 18 言葉の重複を避ける   [春景/先韻]
 19 主題を生かすための舞台を作る   [夏・亀/先韻]

 20 「サンタクロース」を適切に表現する   [クリスマス/東韻]
 21 その土地らしさを出す   [バリ島/陽韻]
 22 その土地の事物を詠み込む   [トルコ/麻韻]
 23 次韻によって唱和する詩を作る   [次韻/麻韻]
 24 フィクションとして、最適の場を設定する   [モンゴル/虞→魚・虞通韻]

 25 強調した描写・表現でパンチを効かせる   [詠史・懐古/真韻]
 26 過去と現在の対比を鮮明にする   [詠史・懐古/尤韻]
 27 前半・後半の流れに留意する   [詠史・懐古/真韻]


 28 適切な語に改め、韻を変える   [元旦/灰→東・冬通韻]

七言絶句
 29 主題にふさわしい語を選ぶ   [慶賀/歌韻]
 30 語の意味やつながりに留意する   [慶賀/真韻]
 31 人物の人となりを詠みこむ   [再会/陽韻]
 32 題詠を重ねたのち、時事の詩に挑戦する   [災害/灰韻]
 33 史実を効果的に踏まえる   [詠史・懐古/刪韻]

 34 同字を意識的に使う   [詠史・懐古/微韻]
 35 視覚・聴覚を動員して今昔の対比を出す   [詠史・懐古/陽韻]
 36 「誰も気づかない捉え方」が詠史のコツ   [詠史・懐古/青韻]
 37 故事を踏まえて情景に深みを出す   [閨恐/真韻]
 38 伏線を張って効果を出す   [夏・夢/陽韻]
 
 39 もっと適切な素材がないか検討する   [七夕/支韻]
 40 斬新な発想を生かす   [茸狩り/先韻]
 41 用いる言葉の意味、雰囲気に気をつける   [月見/歌韻]
 42 特徴的な情景を的確に表す   [シドニー・月/陽韻]
 43 雅な言葉で雰囲気を高める   [発覧・月/灰韻]

 44 同じような形容語を避ける   [夢・キリスト/支韻]
 45 それぞれの事物に合った形容をする   [クリスマス/灰韻]
 46 固有名詞をの字面の効果を考える   [山茶花/文韻]
 47 結句を生かす、一字の効果   [山茶花/寒韻]
 48 季節を表す語は重複を避けて適度に用いる   [山茶花/麻韻]

 49 理にかなった言葉の流れを   [雪・月/侵韻]
 50 言葉の重複に注意する   [年末・送別/寒韻]
 51 既にわかっていることはわざわざ言わない   [年末/真韻]
 52 副詞の使い方に気をつける   [年末/麻韻]
 53 儀礼的な詩を作る   [中国・会合/真韻]

 54 意見の詩もやんわりとした調子で   [送別/真韻]
 55 疑問形で余韻を出す   [山川/侵韻]
 56 固有名詞を生かす   [小諸城/歌韻]

七言律詩
 57 景物にふさわしい語句を用いる   [冬・亀/尤韻]
 58 特殊な語の例は参考にしない   [浦島伝説/支韻]
 59 絶句を律詩に仕立てなおす   [春雨/庚韻]

五言律詩
 60 律詩の対句は「虚」と「実」の組み合わせで妙味を出す   [秋・月/尤韻]
 61 副詞が多くならないように   [春・閑適/青韻]
 62 対句が平板にならないようにする   [春・酒/青韻]

七言律詩
 63 当たり前の描写に一工夫を   [花見の宴/真韻]

五言律詩
 64 「あえて問う」ことの効果   [春・訪友/元韻]

コラム
 門人の稽古場
   一 作詩のヒント
   二 古典を利用した作詩
   三 作詩の順序

付録
 図説 平仄式 七言絶句
          五言律詩
 用語解説・索引
 稽古索引
 作詩のための参考文献

おわりに


目次の項目があまりにも長いので、読みやすいように適宜行を空けて書いてみた。
本のオビに書かれているように、石川忠久氏が漢詩作法(さくほう=作る方法。さほうはマナーの意)を学ぶ門人の作品に対して添削を行う、という内容の本。氏の主催する櫻林詩會の門人19名が作った、五言絶句1首、七言絶句54首、詞(ツー)1首、五言律詩4首、七言律詩4首の計64首が収録されている。

「はじめに」によると、前著『石川忠久 漢詩の講義』の姉妹本的存在にあたるという。しかし、『漢詩の講義』が李白や杜甫といった昔の大詩人の詩についてを書いているのに対して、こちらは全く無名の、というよりも、今現在進行形で生きている人達の詩を題材に書かれている。

まず門人の作った漢詩を原案として載せ、それに対して石川氏が問題点や具体案を推敲(=指導)し、最後に完成詩を載せるという形式を採っているので、一首の詩をどのように推敲すればより良い詩になるのか?ということがわかるようになっている。

詠じている詩は、基本的に花鳥風月や四季などの風流な事物についてが多いが、中には唐宋代に無かった言葉を江戸時代の先人達が苦心惨憺して作り出したように、高層ビルやクリスマス、非漢字文化圏への旅行などの「漢語にない言葉や事物を、どのような漢字を使って詠じようか?」と頭をひねっている様が面白い。

また、門人の書いたと思われるコラムがあり、「漢詩をどのように作っているのか?」という作詩過程が興味深い。どうやら彼らは一句目から二句目、三句目と順に作っているわけではなく、四句目から三句目と作っていることが多いようだ(´-`).。oO( 全ての作品はみな最後から作っているのかネ?)

漢詩を作るに当たっては様々な決まり事があるが、その決まり事については、付録に「七言絶句」及び「五言律詩」の図解と「用語解説」が簡単に記載されているのみであり、初めて漢詩の作り方を知ったという人には、少々判り難い&とっつきにくい一面もあることは否めない。高校では絶句は4行詩であり、律詩は8行詩であると習っても、一句内の規則や句と句の決まり事までは習わないからね(-_-;)

これについては「作詩のための参考文献」を適宜読んでくれ、ということであろうか?もっとも、ページ数と価格のバランスについて考えれば、やむを得ない(この言葉、もともとは漢文なのヨ。「不得已」と書くのネ。)大人の事情もあるのだろうが、お手頃価格で手軽にコンパクトに済ませたい   でも中身がスッカラカンのスナック本はいやヨ   の現代人としては、「なんとか一冊で収められないの?」という気がしないでもないが、それは贅沢&ワガママが過ぎるというものだろう(苦笑)

この本を読むと、自分にも漢詩が作れそうだという錯覚に陥ってしまうが、恐らくそう簡単なものでもないだろうという気もする。気になる点としては、平仄の表記違いが若干あるようだが、これは編集上の誤植なのか、はたまた、作者から読者への間違い探しをしてみなさいよと言うメッセージなのだろうか?
というわけで、とりあえず一つ。潮(●)→潮(○)

それにしても日本人とはおもしろい人達だ。国民のほぼ全てが英語学習を義務づけられているにもかかわらず、英語で詩を書く人はほとんどいない。その一方で、漢文教育がますます廃れゆく現代でも、今だにこうして古代中国語という外国語で詩を作っている人々がいるのだから   .

コメント

コメントの投稿




URL:

Comment:

Pass:

 管理者にだけ表示を許可する

上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。